R4年度採択「スマート農業実証プロジェクト(スマート農業産地形成実証)」
経営分析及びデータの活用
| 実証圃場における経営データ
・実証項目1 【機械経費負担に関する協議】より①個人導入機械費、③シェアリング想定利用面積での機械費・輸送清掃委託費の機械費を利用し、(a)慣行、(b)個人でのスマート農機導入、(c)スマート農機シェアリングでの農家収益の比較を行った。
・シェアリング想定利用における輸送清掃委託費は、スマート農機利用面積にて按分し、各生産者の賃借料に加算している。
・(a)慣行においては、現状の減価償却費からスマート農機に対応する既存の農機分を差引くことが出来ない(償却済みで購入金額が分からない、中古での購入など)ため、スマート農機に対応する農機を新規で購入したものとして、機械費に加算している。
・対象作物は水稲、秋小麦、大豆であるが、生産者によっては作付していない作物もあるため経営データがあるものについて試算を行った。
・12月末時点で、全ての作物のデータがそろっていないため、R3年度経営データからの推計値となる。
スマート農機に対応する新規購入農機表
①個人導入機械費表
③シェアリング想定利用面積での機械費・輸送清掃委託費
・実証項目2.で得られた【ロボットトラクタ】、【自動アシストコンバイン】、【UAV防除】、【可変散布】の結果を労働費、資材費に反映し試算を行った。
スマート農機導入効果実績表
| ①桝田農場 実証経営データ
| ②藤原農場 実証経営データ
| ③大塚農場 実証経営データ
| ④原農場 実証経営データ
| ⑤阿波農場 実証経営データ
| ⑥中村協進農場 実証経営データ
| ⑦林農園 実証経営データ
| 2024年度 実証圃場における経営データ
・実証項目1.表2-4での機械費・輸送清掃費の経費を利用し、(a)慣行、(b)個人でのスマート農機導入、(c)スマート農機シェアリングの3つパターンでの農家収益の比較を行った。
・シェアリング利用における輸送清掃委託費は、スマート農機利用面積にて按分し、各生産者の賃借料に加算している。
・(a)慣行においては、現状の減価償却費からスマート農機に対応する既存の農機分を差引くことが出来ない(償却済みで購入金額が分からない、中古での購入など)ため、スマート農機に対応する農機を新規で購入したものとして、機械費に加算している。
・実証項目2.で得られた【ロボットトラクタ】、【自動アシストコンバイン】、【UAV防除】、【可変散布】の結果を労働費、資材費に反映し試算を行った。
・対象作物は水稲、秋小麦、大豆であるが、生産者によっては作付していない作物もあるため経営データがあるものについて試算を行った。
・1月末時点で、全ての作物のデータがそろっていないため、R4年度経営データからの推計値となる。
(再掲)表2-23 スマート農機に対応する新規購入農機
(再掲)表2-4 シェアリング利用対象面積での機械費・輸送清掃費用と個人導入費用の減少割合
(再掲)表1-3 スマート農機導入効果実績
・(c)スマート農機シェアリングにて利用する農機と利用経費については表3-1に示す。
・(a)慣行では、スマート農機と同一作業を行う農機の導入費用と(b)個人でのスマート農機導入による機械費を加算している。
表3-1 スマート農機シェアリングにおける農機利用作物と利用経費及び慣行、スマート農機個人導入機械費
・各生産者の水稲、小麦、大豆作物において、(a)慣行と(b)個人でのスマート農機導入での収益は平均で49.9%減少、(c)スマート農機シェアリングとでは収益が平均84.6%の増加となった。
表3-2 各生産者(水稲、小麦、大豆)の経営データ比較
| ①桝田農場 水稲(移植) 2024年度 実証経営データ
| ①桝田農場 小麦(秋まき) 2024年度 実証経営データ
| ①桝田農場 大豆 2024年度 実証経営データ
| ②阿波農園 水稲(移植) 2024年度 実証経営データ
| ②阿波農園 小麦(秋まき) 2024年度 実証経営データ
| ②阿波農園 大豆 2024年度 実証経営データ
| ③原農場 水稲(移植) 2024年度 実証経営データ
| ④中村協進農場 水稲(直播) 2024年度 実証経営データ
| ④中村協進農場 小麦(秋まき) 2024年度 実証経営データ
| ⑤林農園 水稲(移植) 2024年度 実証経営データ
| ⑤林農園 小麦(春まき) 2024年度 実証経営データ
| ⑥藤原雅史 水稲(移植) 2024年度 実証経営データ
| ⑥藤原雅史 小麦(秋まき) 2024年度 実証経営データ
| ⑥藤原雅史 大豆 2024年度 実証経営データ
| ⑦大塚農場 水稲(移植) 2024年度 実証経営データ
| ⑦大塚農場 小麦(秋まき) 2024年度 実証経営データ
| ⑦大塚農場 大豆 2024年度 実証経営データ
| スマート農業技術の効果を最大限に発揮し得る経営モデル
<技術面での効果(分析)>
・ロボットトラクタ、農業用UAV による労働時間削減と自動アシストコンバインによる人員変
更による人件費の削減
・可変施肥による資材投下量の削減と収量・品質向上
・対象とする作物を地域で定めて、作業適期期間にその地域にスマート農機を置いておき、長期
利用
・清掃はコンバインの輸送前に生産者のもとで行い、メーカーへの清掃回数を減らし、輸送のた
めの移動時間のロスを減らす工夫
<経営面での効果(分析)>
・スマート農機導入によるコストをシェアリング利用によって生産者一戸あたりの負担軽減
・前年度より、改善されているが生産者の収益向上への影響も小さく、利益は減少となった。
・一つの地域においてスマート農機のシェアリング利用面積の拡大を図ることが利益向上につ
ながると考えられる
【シナリオ・考え方】
・本年度の実証において、作物を地域ごとに分けてスマート農機のシェアリング利用を行って
おり、利用面積拡大に有効である。
・表1-5より、1台作業の場合、ロボットトラクタの作業効率から求めた配置期間内の最大作業
面積は10日間で192haとなる。
・表1-7では、自動アシストコンバインの作業効率から配置期間内の最大作業面積が40haにな
ると試算している。
・本実証でシェアリング利用対応面積とした面積から配置期間内と仮定してもロボットトラク
タで101haほどの余裕がある。
(再掲)表1-5 ロボットトラクタの作業効率と配置期間内最大作業面積
(再掲)表1-7 自動アシストコンバインの作業効率と配置期間内最大作業面積
・自動アシストコンバインは、11 日ほどかかる試算となるが、図2-3 で水稲の刈取時期について、深川市と当別町で6日間、沼田町と由仁町で9日間の期間が空いている。
・上記から、水稲の刈取における自脱型自動アシストコンバイン作業については、タイミングが合えば、沼田町、深川市での利用の前後に当別町、由仁町の水稲刈取に利用することが可能と考える。
・よって、刈取が早かった当別町藤原農場と刈取が遅い由仁町中村協進農場、林農園の水稲面積を自脱型自動アシストコンバインのシェアリング利用面積に追加する。
・また、藤原農場では、水稲刈取と同じタイミングで耕起を行っているため、ロボットトラクタでのシェアリング利用面積にも水稲面積を追加するものとする。
(再掲)図2-3 水稲における出穂期から成熟期までの積算気温到達日予測とコンバインの作業日(地域別)
・追加した想定シェアリング利用面積からのシェアリング利用経費は表となる。
・シェアリング想定利用における輸送清掃委託費は、スマート農機利用面積にて按分し、各生産者の賃借料に加算している。
表3-3 想定シェアリング利用面積での機械費・輸送清掃費用と個人導入費用の減少割合
・(a)慣行においては、現状の減価償却費からスマート農機に対応する既存の農機分を差引くことが出来ない(償却済みで購入金額が分からない、中古での購入など)ため、スマート農機に対応する農機を新規で購入したものとして、機械費に加算している。
・実証項目2.で得られた【ロボットトラクタ】、【自動アシストコンバイン】、【UAV防除】、【可変散布】の結果を労働費、資材費に反映し試算を行った。
・UAVセンシングについては、委託費用として単位面積当たり(200円/10a)の金額を計上。
・各生産者の作物において、スマート農機のシェアリング想定利用面積に含まれない作業については、慣行と同様にスマート農機に対応する農機を個人導入するとして試算
(再掲)表1-3 スマート農機導入効果実績
・各生産者の水稲、小麦、大豆作物において、(a)慣行と(d)想定シェアリング利用面積からのスマート農機シェアリングにおける収益は平均で106.5%増加、全体経営での比較では収益が平均205.4%の増加となった。
・全体経営でマイナスとなった生産者は、試算のため慣行に入れた農機の機械費で利益がマイナスとなっていたためである。
表3-4 想定シェアリング利用面積からシミュレーションしたスマート農機シェアリングにおける農機利用作物と利用経費及び慣行との比較
※●はシナリオで追加したシェアリング利用作業
【タンパク値マップをもとに分別収穫した場合の試算】
・桝田農場、阿波農園の水稲作物において、上記に加えてタンパク値基準別の収穫による販売金額増加分を加算した場合の試算を行った。
・加算する金額は試算における最大値とし、10a あたり桝田農場では3 円/kg、阿波農園で4 円/kgとする。
・タンパク値基準別収穫による経営変化は、慣行に比べ桝田農場では66.5%の増加、阿波農園107.7%の増加となった。
表3-5 桝田農場、阿波農園の水稲作物におけるタンパク値基準別の収穫による販売金額増加分
表3-6 桝田農場、阿波農園の水稲作物におけるタンパク値基準別の収穫による経営変化
| ①桝田農場 2024年度 実証経営データ
| ①′桝田農場(水稲作物タンパク値基準別収穫による販売金額増加分加算)
| ②阿波農園 2024年度 実証経営データ
| ②′阿波農園(水稲作物タンパク値基準別収穫による販売金額増加分加算)
| ③原農場 2024年度 実証経営データ
| ④中村協進農場 2024年度 実証経営データ
| ⑤林農園 2024年度 実証経営データ
| ⑥藤原雅史 2024年度 実証経営データ
| ⑦大塚農場 2024年度 実証経営データ
| 経営全体での経営状況の変化
家族経営(青色申告決算書)
(1)沼田農場(沼田町)
経営状況の変化に関する定性分析
・本年度の決算書が未定のため、現状での分析は出来ていない。
(2)藤原雅史(当別町)
経営状況の変化に関する定性分析
・本年度の決算書が未定のため、現状での分析は出来ていない。
(3)原農場(深川市)
経営状況の変化に関する定性分析
・本年度の決算書が未定のため、現状での分析は出来ていない。
(4)阿波農園(深川市)
経営状況の変化に関する定性分析
・本年度の決算書が未定のため、現状での分析は出来ていない。
(5)林農園(由仁町)
経営状況の変化に関する定性分析
・本年度の決算書が未定のため、現状での分析は出来ていない。
(6)有限会社大塚農場(当別町)
経営状況の変化に関する定性分析
・本年度の決算書が未定のため、現状での分析は出来ていない。
(7)有限会社中村協進農場(由仁町)
経営状況の変化に関する定性分析
・本年度の決算書が未定のため、現状での分析は出来ていない。
2.データ収集の工夫
・ロボットトラクタや自動アシストコンバインの稼働時間集計においては、データの取得漏れがない様に、外側から動画の録画撮影を行い、録画画像と撮影時間を確認しながら計測し、稼働時間取得ができるようにした。
・農薬散布用UAV に関しては、タブレット内の専用アプリケーション上で操作を行い、その記録はシステム上に保存されているため、データの取得漏れが起こらないという利便性があった。
・UAVセンシングにおいて、VTOL型UAVの広域撮影を行うとともに撮影範囲外の圃場については、マルチコプター型UAVを活用することで効率化なUAVセンシングを実施した。
・UAVセンシングにおいて、強風のため計測ができなかった時期において、衛星データを利用し生育情報の取得、可変散布マップの作成を行った。
3.データ活用
・クボタ社KSAS システムによるコンバインでの圃場内収量及びタンパク値マップの作成を行い、実証における効果試算に活用した。
・また、酪農学園大学のタンパク値分析についてもクボタ社KSAS システムのタンパク値マップを活用し分析を行った。
・さらに、エアロセンス社では、UAVセンシングで撮影した画像からNDVI値を算出し、それを基に可変施肥マップへ変換するクラウドサービス機能を開発している。